熱性けいれんとはどんな症状?その原因は?
2017/05/01
熱性けいれんとはどんな症状?その原因は?
突然、子供が白目をむいて、両手足をピンと伸ばしたままガクガクと震え出したら、そばにいるママやパパは、パニックを起こしてしまうのも無理はありません。
発熱とともに起こるけいれんを、『熱性けいれん』といい、赤ちゃんや幼児によく見られる症状の一つです。
今回は、突然の“熱性けいれん”が起きても落ち着いて対処できるよう、その原因や症状、対処法などを詳しく見ていきましょう。
熱性けいれん
熱性けいれんとは、38度以上の発熱後に起こる“けいれん”のこと。
風邪や、インフルエンザなどの感染症で熱が上がってから【24時間以内】に発症します。
原因
熱性けいれんは、生後6ヶ月~5歳までの乳幼児に多く見られます。
この時期は、脳が未熟なため、高熱のストレスによって脳内に何らかのトラブルが発生して起こると考えられています。
しかし、けいれんが起きるメカニズムに関しては、まだハッキリわかっていません。
日本では、7〜10%の割合で熱性けいれんを発症、両親や兄弟などに熱性けいれん経験者がいると発症率が高まるといわれています。
症状
熱が出始めてから24時間以内に、手足を硬直させてガクガクとけいれんを起こし、2~3分ほど意識を失うというのが熱性けいれんの典型的な症状です。
個人差はありますが、白目をむいて泡を吹いたり、皮膚や粘膜が青紫色になる“チアノーゼ”を起こしたりすることもあります。
熱性けいれんは、生涯でほとんど1回きりです。
しかし、約3割程度の割合で2回以上繰り返すこともあります。
2回目のけいれんが起こったとしても、慌てないようにしましょう。
対処法
子供が熱性けいれんを起こしたときに、なによりも大切な事は、ママやパパが“できるだけ冷静になること”です。
熱性けいれんは、長時間続くことはなく、脳に悪影響を与えるものでもありません。
慌ててパニックになってしまう気持ちも分かりますが、落ち着いて対応してあげましょう。
熱性けいれんが起こったら、まずは時計を確認して『けいれんが続いた時間』と『けいれんが治まって意識が戻るまでの時間』を計っておきましょう。
けいれんが長時間続く、治まっても意識がなかなか戻らない場合には、病院での診察が必要です。
時間を計測しながら、以下のような対処を行ってください。
● 息がつまらないように、頭を少し後ろに反らせ気道を確保する
● 嘔吐時に窒息しないように、顔を横向きに寝かせる
● 衣服をゆるめてあげる
● 平らなところに寝かせる
けいれんは数分~5分以内で治まります。
その後は、リラックスさせて安静にしてあげてください。
けいれんが治まった後も、呼吸が乱れていないか、顔色が悪くないかなど、しばらく様子を見守って下さい。
やってはいけない対処法
熱性けいれんが起きている最中に、やってはいけないこともあります。
例えば、大声で呼びかけたり、激しく揺さぶる、頬を叩いたりするなどの刺激を与えること。
驚いて、思わずこのような事をしてしまいがちですが、かえって症状を悪化させてしまうことになります。
また、硬直した際に、舌をかまないようにと口に割り箸や指などを突っ込む人がいますが、噛む力がかなり強いため、かえって口の中を傷つけたり、誤飲を招いたりするので絶対にやらないようにしてください。
“複雑型熱性けいれん”の特徴があれば病院へ
ほとんどの熱性けいれんは、一時的なものであり、神経異常などを引き起こすことはありませんので安心してください。
しかし、けいれんの現れ方によっては注意が必要な場合もあります。
一般的な熱性けいれん(単純型熱性けいれん)と異なり、以下のような特徴が見られるときには、「複雑型熱性けいれん」を疑う必要があります。
この場合は、脳の神経異常が原因の可能性があるので、早期の検査が必要です。
複雑型熱性けいれんの特徴
●長時間(5分以上) けいれんが続く
● 短時間にけいれんが何度も起こる
● けいれんが左右非対称、もしくは体の一部だけに起こる
● 意識が戻らない
● 麻痺が残っている
初めての熱性けいれん
“単純型熱性けいれん”であれば、特別な治療は必要ありません。
しかし、初めてけいれんを起こしたときには、念のため小児科を受診するようにして下さい。
受診の際は、けいれんが続いた時間・けいれん中の症状、けいれん後に意識を取り戻すまでの時間を伝えると、診断がスムーズに行えます。
また、“複雑型熱性けいれん”の特徴が出ていた場合は、受診時に伝えると、すぐに血液検査などの対応が必要になることが多いので、必ず伝えるようにして下さい。
救急車は?
特に、高熱が出やすい夜間に熱性けいれんが起こると、病院も開いていない時間で不安になります。
“単純型熱性けいれん”であれば救急車を呼ぶ必要はありません。
けいれんが起こっても“5分”は落ち着いて子供の様子を観察し、治まるようでしたら自宅で安静に過ごしましょう。
けいれんが長時間続く、左右非対称なけいれん症状があるなど、5分以上続く場合には“複雑型熱性けいれん”の可能性があるので、迷わず救急車を呼んで構いません。
入院
“単純型熱性けいれん”であれば入院等は不要です。
しかし、“複雑型熱性けいれん”では入院をすすめられることも多くあります。
長時間のけいれんに対応するための投薬や、頭部の画像検査、髄液検査などを行う場合があるためです。
また、けいれんが繰り返し起こる場合などは、パパやママの精神的不安をサポートするためにも、医師が入院を選択することもあるようです。
入院が決まったからといって、危険度が高まったわけではありませんので、落ち着いて対処してください。
ダイアップ座薬
病院で、熱性けいれんの診察を受けた後に、けいれんの再発予防としてダイアップ座薬(ジアゼパム)が処方されることがあります。
過去に、15分以上の長時間けいれんを起こした、複数回けいれんを起こしたことがある、体の一部だけ強いけいれんを起こした、などの経験がある子供が主に利用するものです。
使用方法は、37.5度~38度以上に熱が上がったときに1回、その8時間後にもう1回の2回1セットで、けいれん予防のために挿入します。
また、ダイアップ座薬は鎮静剤の一種なので、熱を下げる効果はありません。
解熱のための座薬を、一緒に使用することもあります。
ダイアップ座薬の処方を希望するときには、医師と十分に相談の上、利用するようにしましょう。
後遺症は残る?
“単純型熱性けいれん”であれば、後遺症が出ることはほとんどありません。
しかし、“複雑型熱性けいれん”の場合には、原因が脳の神経異常である可能性があり、繰り返していると知能障害や運動障害などの後遺症が出る可能性があります。
熱性けいれん後の予防接種
予防接種が必要な赤ちゃんなどは、熱性けいれんが起こってから、どのタイミングで摂取すればいいか迷うママも多いようです。
小児神経学会によると、けいれんの発作から1ヶ月経過を観察すれば、担当医の判断により接種しても良いとされています。
予防接種を受ける際には、クリニックや病院に事前に相談してから、予防接種のタイミングを決めて下さい。
いかがでしたか?
突然起こる子供の熱性けいれん。
手洗いやうがいでの風邪予防、予防接種などで熱性けいれんのリスクを下げながら、万が一のときの対処法をしっかりと覚えておくと、安心ですよ。